可決された高度プロフェッショナル制度(高プロ)の条文が完全に遊戯王な件
W杯に日本中が浮かれているころ、ひっそりと働き方改革が可決されたらしい。
その改革の一つに、高度プロフェッショナル制度というものがある。
年収1075万円以上の高度な専門職に就く人は、労働時間に縛られず、成果主義のもと自由に働ける、という制度だ。
既存の制度に縛られず、自由な働き方ができるようになり、また成果に基づいた評価がなされるようになる。
一方で、残業代や労働時間の上限がなくなるため、企業がブラックな形で労働者を使い潰す合法的な言い訳ができた、と見ることもできる。
ところで、年収1075万円以上なんて日本人の3%くらいしかいないため、ほとんどの人は、この”高プロ”制度には無関心だろう。
しかし、この制度には大きな罠がある。本当は年収1075万円以上の人のみが対象なんてことは全く無い。多くの人にこの制度が降り掛かってくる可能性があるようなのだ。
つまり何が言いたいか。
条文が完全に遊戯王なのだ。
この高度プロフェッショナル制度、コンマイ語に直すと、多分こういうことになる。
ー年収1075万円以上のプレイヤーを選んで発動できる。そのプレイヤーは、「成果に基づいて仕事ができる」ようになる。代わりにプレイヤーは労働時間の上限を失い、そのプレイヤーが得られる残業代は0になるー
そう。「元々の年収」ではなく「年収」なのだ。
巨大化ではなく奈落の落とし穴であり、進化する人類ではなく死のデッキ破壊ウイルスなのだ。
遊戯王触ったこと無い人からすると、何が言いたいかわからない。普通じゃん。って思われそうなので、ここで、高プロの条文を見てみることにする
「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を1年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまつて支給する給与の額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の平均額をいう)の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること」(労基法改正案41条の2第1項2号ロ)
ここでいう
”労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を1年間当たりの賃金の額に換算した額”
というのがミソである。
実際は1075万円もらっていない人にも、この人は稼げる見込みがあると判断さえされれば(別に根拠はなくていい)適用できてしまうということらしい。
つまり何が言いたいかというと
例えば年収500万の人を指定して”高プロ”を発動する
(こんなイメージ)
そして、この”高プロ”の発動にチェーンして、速攻魔法「今年の見込み年収アップ」を撃つことができる。
(こんなイメージ)
そう、つまり、年収500万円の人をいきなり「今年だけ年収1200万ね!」ということにして、高プロを発動することができるらしいのだ。
また、もう一つ。
高プロの条文には、基準年間平均給与の三倍の額を相当程度上回る人を対象にする制度だと書かれている。
別に1075万円以上もらってる人が対象というわけではないのだ。(あくまで現在の日本の平均年収に照らし合わせると1075万になるというだけの話である。)
なぜこんなふわっとした条文になっているか。
つまり
年収1075万という数値はエラッタ可能ということだ。
…神宣で。